朝から天候が不安定で開催が危ぶまれていましたが、幸い集合時間の午後4時前には雨もやみ、予定通り全日程を行うことができました。
参加者は13名(内、中学生以下4名、リピーター6名)。浜松市近郊のみならず、静岡市、豊橋市、四日市市から参加くださった方もいて、地域間交流の場ともなりました。また、夏休みの自由研究にしようと、熱心に音の観察をしていた小学生も。
今回も歴史の案内人として「浜松観光ボランティアガイドの会」の池谷さんに同行いただき、スタッフ合わせて16名での散策となりました。
2012年3月にスタートしたこの活動も、今回で、はや5回目。
同じコースでも季節を変えて歩くことによって、四季それぞれの音や風情を楽しんできました。今回は残暑が厳しいことを想定し、初めて夕方~日没の時間帯(pm4:30〜6:30)に設定。「夏の音」に加え、「夕暮れならではの音」にも着目して散策する趣向にしました。
pm 4:00 参加者の皆さんが続々とJR浜松駅に集まってきました。
人の声、人の歩く音、階段を駆け上がる音、着メロ、お金の音・・・たくさんの音が聞こえました。
人の往来の激しく、雑多な情報が飛び交う駅の構内で「何の音か」を聞き分けるには、かなり神経を集中させなければなりません。さすが経験者だけあって、「聞き取る力」が身についていますね。
pm 4:15 全員集合→散策に出発。
劣勢だった徳川軍は、夜に武田軍の陣営を鉄砲で威嚇。その音に驚いた武田の軍勢は右往左往し、人馬もろともこの崖の谷底に転落したそうです。その他、地元の伝統芸能「遠州大念仏」の由来にもこの崖での「音」が関わっているなど、音にまつわるエピソードが幾つか語られ、音からまちや文化の成り立ちを眺め、まちを再発見するための良い準備となりました。
参加者が書いた「音のリスト」 |
犀ヶ崖古戦場をあとにして、いよいよ音散策に出発。現在は遊歩道になっている軽便鉄道跡地に沿って、普済寺、亀山トンネルを経由して浜松城公園まで、それぞれの地図に聞こえた音を書きとめながら歩きました。
途中、機関車の模型のあるところでは足を止め、再び聞こえてくる音を書き出して「音のリスト」を作成。
そしてこの時は、その音を、自然の音/機械(車など)の音/人間が発した音 に分類してみました。自然の音よりも、生活の音(機械/人間の音)が多く聞こえてきました。
かつて軽便鉄道の駅があったところでは、通学のためこの駅を利用していたという参加者の方から、当時のエピソードや、思い出した音(音の思い出)について貴重なお話を聞くことができました。
そして、ガイドさんのお話を聞いて、昔の音を想像してみました。
機関車のブレーキの音、ガタゴト、シュッシュッ、ポッポー(汽笛の音)、人で賑わう音などなど、たくさんの音が浮かんできました。
コースは遊歩道から一旦それて普済寺へ。
普済寺は、三方原の戦いの際、浜松城が炎上したと見せかけるため、家康の命令によって焼き払われたそうです。
今は同じ敷地内に幼稚園があります。平日はきっと園児たちの賑やかな声であふれているのでしょうね....
普済寺からの帰り道は、自分の足音の変化を聞きながら歩き、その音の様子を記録していきました。
小学生が書いた足音の変化の様子 |
亀山トンネルネル内では、掲示してある機関車の写真を見ながら、当時の音風景を想像してみました。この狭いトンネルの中を機関車が走っていたなんて...さぞ、耳を覆いたくなるほどの轟音だったのでしょうね。
pm.6:10 浜松城公園に到着。雨上がりの青空に、飛行機雲がより清々しく目に写りました。
浜松城公園ではひと休み。ここまでのルートで聞こえた音・発見した音を大きな地図に書こんだり、公園内を散策したり・・・
参加者が書きとめた音の地図 |
そして、皆さんで「夏の音」「夕方ならではの音」について語り合いました。「夏の音」として、セミの鳴き声、蚊をはらう音/たたく音、エアコンの音が、「夕方の音」として、犬の散歩の音、カラスの声などがあがりました。
また、蝉の鳴き声は昼間に聞くと「暑苦しく」感じるが、夕方近くになって聞くと「味わいがある」「涼やかにさえ」感じるなどの感想も聞かれ、音に対する新たな感情の発見ができました。
雨上がりで芝生がぬれていたので、大人たちは立ったままでしたね...(^^;)
皆様、大変お疲れさまでした。
その後、浜松城を経由して、最終目的地・東照宮へ。
前回(2013年3月)の〈春の章〉では、↓この場所で車同士がぶつかる事故を目撃。音に着目して歩いていたので、よりその衝撃音に皆さん大変驚きました。
その時の「音の記憶」を話しているリピーターの子どもたち。↓
pm.6:50 予定時刻をだいぶオーバー。東照宮に到着した頃はすっかり日が暮れていました。
今回も「家康の散歩道」を歩きながら、自然の音・生活の音・歴史にまつわる音...たくさんの音を発見しました。何より、参加者の皆さんの談笑する声とステキな笑顔に出会うことができ、とても嬉しく思います。